若手インディーズコンピ「シン・ゴミ人間動物園」を褒める 前編
こんにちは。
最近の音楽は実にハイファイですよね。低価格なDAWソフトが世間一般に普及にしたことにより、さほどコストをかけずともクオリティの高い音源を作成出来る、素敵な時代になりました。ベッドルームでスタジオクオリティの作品の音源が録れるのだから、恐ろしいことです。
上のような状況もあり、令和の時を生きる我々の耳にローファイな音楽ってものがほとんど届かなくなりました。ほんの数年前は探さなくともあっちから飛び込んできたような気がしたんですけどね。
そんな時代に先日、僕の耳に飛び込んできた音源がこちらになります。
インディーズてええよな
こちらは東京恋慕というインディーズバンドが企画、若手のインディーズバンド達が「自由に楽しく」をモットーに制作したコンピレーションアルバムとの事。実に素晴らしいモットーだと思います。自由に楽しく。それが一番です。
にしても「シン・ゴミ人間動物園」て。名前からして実にサブカルチャーしてますよね。ジャケットも、まぁそんな感じ。下北沢とか高円寺とか、そこらへんで個展を開かれてそうなイラストですね。早速今日の偏見を発動してしまった。
収録されてる楽曲陣も推して知るべし、期待を裏切りません。タイトル・ジャケットに相応しい質感の音達が詰まっています。良い。
それととても面白いのが、このアルバムがApple MusicやSpotifyなどサブスクリプション配信限定リリースという事。平成に音質を置き忘れてきたような音源のくせに実に現代的です。ギャップ萌えってやつですね。
先にも言いましたが、今って本当にアマチュア音楽がハイクオリティなんですよ。インディーズバンドの音源が全然インディーズしてない。クオリティで殴りかかってきます。怖いね。
その点、このアルバムは実にインディーズです。インディーズしてる。語弊を恐れずに言えば、技術的・音質的なクオリティの平均値はあまり高くない。でも大切なのはそこじゃねぇ。音楽ってのは"ここ"だからよ!!!!!(自分の胸に手を当てながら)。そんな感じの人には是非聴いてもらいたい。良い曲たくさん入ってるよ。
- インディーズてええよな
- tr.1 東京恋慕「ストロベリーフィールズ」
- tr.2 哲屑廃棄「ミニアルバム」
- tr.3 ライリィライリー「光に捧ぐ」
- tr.4 iGiGi「そのままカービィを殴る」
- tr.5 マイナーズドール「双六」
- tr.6 超処女カワアイドルあいちゃん「アングラアイドル」
tr.1 東京恋慕「ストロベリーフィールズ」
タイトルに「東京」と入っている楽曲は名曲である。古事記にもそう書いてあります。
ましてやバンド名に「東京」が入っているとなればね。言わずもがなでしょう。先ほど「技術的・音質的なクオリティの平均値があまり高くない」なんて言っちゃいましたが、この曲はとてもクオリティが高いです。嘘っぱち野郎かよ。だからこそアルバム内では若干の異色感もありますが。
曲調はシンプルなロックバラード。アコギとボーカル、リズムだけでシンプルに聴かせてから粒の荒い歪みが入ってきます。腐るほど聴いた展開ではありますが、王道には王道たる所以があるからこその王道です。俺はこういうのが好きなんだ。あとボーカルの声がすこぶる良いですね。息の残し方や高音のかすれが実にノスタルジー。
これは余談ですが、僕の知り合いにこのボーカルによく似た声・歌い方の女性がいるのですが、その人は手首におえかきをしたり、おくすりたくさんのめたね!したりと忙しい方だったので、勝手に一抹の不安を覚えながら聴いています。健康であってくれ。
tr.2 哲屑廃棄「ミニアルバム」
【軟式】哲屑廃棄 (@t2kz_official) | Twitter
15分て。複数の楽曲を継ぎ接ぎしたような構成になっています。
深いリバーブのかかったボーカルとノイジーなギターで構成されているシューゲイザー、でいいのかな。リズムははっきりしていますし、ボーカルもしっかりとメロを歌っているので、ノイジーな音色ではあるもののノイズではないですね。こう言うのなんて言うんでしょうね。良くも悪くも実にインディーズ的。適当に一言で片付るのならアバンギャルド。
一部ポストパンク的なパートもありますね。音色に統一感はあるものの闇鍋感もすごい。やりたいことをやりたいだけやれる点はインディーズの大きな魅力の一つです。
tr.3 ライリィライリー「光に捧ぐ」
ライリィライリーOfficial (@raily_riley2) | Twitter
落ち着きますね、バンドサウンドって。「ミニアルバム」との緩急が凄まじい。15分の音の洪水にやられ「次の曲はどんななんや...」と戦々恐々となった耳と心に、ドラムカウントの入りが優しく沁みます。このアルバム、この後もこんな感じなんやろか。頑張ろう。
楽曲的にはとても聴きやすいポップロック。ヴィヴァーチェって感じです。土曜夕方17時から放送してるアニメで流れても多分違和感ないな。一枚薄い膜のかかったような音質が心地良いですね。ライブハウスで手売りしてる面無しCD音質みたいな。好きなんですよね。
あと、歌詞がとても好き。実に日本語を大切にしている印象を受けます。日本語だけで歌詞を作るの、音節的な制限がかかるのでちょっと面倒な時も多いんですが、書き切っていますね。スピッツとかもそうですが、こういう詩を書ける人は尊敬します。いや、本当に難しいんですよ。
tr.4 iGiGi「そのままカービィを殴る」
𖥶 ᵢᴳᵢᴳᵢ 𖥶 (@iGiGinfo) | Twitter
カービィを殴るな。これ色々と大丈夫ですか。任○堂は怖いですよ。
電波ソング。男性ボーカルなのですが、曲調やテンポ的には地下アイドルチックです。まぁ真面目に考えるのも馬鹿らしいですね。
それにしても本アルバム初めてのシンセトーン。tr4までシンセが聴こえないコンピアルバム、きょうび中々ないよね。そのシンセサウンドも中々チープです。いいぞ!
こういう歌詞、どういう精神状況で書くんですかね。僕はちょっとカービィを殴りたくなった経験がないので分からないのですが。今後カービィを殴りたくなるような夜にはこの楽曲を思い出すことにします。あとダッフィーを殴るな。デ○ズニーはもっと怖いですよ。
tr.5 マイナーズドール「双六」
蒼玄(マイナーズドール) (@minorsdoll) | Twitter
超良い。
男性ボーカル裸一貫弾き語り楽曲です、例のごとく音質は悪い。でも大切なのはそこじゃねぇ。この曲は特にそうです。
ギターと声以外の音はなにもありません。良いなぁ。僕も4561大好きです。等身大の歌詞がエモーショナル全振り。生で聴きたいですね。
楽曲的にはとてもシンプルなので特筆する事はないです。編曲もクソもない弾き語りですしね。良い曲は音で飾らずとも良い事を再認識させてくれます。
tr.6 超処女カワアイドルあいちゃん「アングラアイドル」
あいちゃん (@moroheiya1125) | Twitter
超処女カワアイドルあいちゃん「アングラアイドル」って文字列を打つの、多分人生でこれっきりだと思います。
入りからシンセ全開+4つ打ちのTHE 地下アイドルって感じの曲調です。
ボーカルの音程がブレにブレていて安定しません。そこもまた実に地下アイドルらしい。アングラアイドルという名が完全に体を表しています。低いステージで一人安っぽい衣装に身を包み踊り歌う姿が容易に想像できますね。
アイドル楽曲の伝統をしっかりと踏襲しているところもニクい。チープな音色でやたらと頑張るギターソロやBメロのPPPH。日本の伝統芸能です。クールジャパン。多彩なアルバムだなぁ。
気づいたらもう3000字書いてしまっていますね。怖い。
流石に長いしキリもいいので今回はここまでにしておきます。続きは元気な時に。