For Tracy Hyde『New Young City』を褒める
こんにちは。
皆様『For Tracy Hyde』というバンド、ご存知ですか。
ちょうど昨日、彼らの3rdアルバム『New Young City』が発売されました。はちゃめちゃに良い。昨日からずっと聴いてる。
ということで今回の記事では、ジャパニーズドリームポップの雄、と僕が勝手に思っているインディーポップバンド - For Tracy Hydeの新譜『New Young City』の事を褒めたいと思います。
最近ブログをサボっておりましたが、このアルバムは聴かれないとアカンな、と思いました。書いていくぞ。
『For Tracy Hyde』について
まずFor Tracy Hydeというバンドについて
eureka (Vo)、夏bot (Gt)、U-1 (Gt)、Mav (Ba)、草稿(Dr)による5ピース・バンド。
シューゲイズ/ドリーム・ポップを軸にしつつも60年代から現在までの様々な音楽を自由な発想で取り込み、中高生から〈Creation Records〉にリアルタイムで触れた40~50代まで、幅広いリスナーの日常に彩りを添える「21世紀のTeenage Symphony for God」を作り出す。また、国内のインディ・シーンで精力的に活動するのみならず、Hazel English (Australia/US)やThe Embassy (Sweden)のオープニング・アクトを務めたほか、Sobs (Singapore)、Cosmic Child (Singapore)、Thud (Hong Kong)の来日ツアーをオーガナイズするなど、海外シーンとの交流を深めつつある。
だそうです。
上にも書いてある通り、楽曲の節々からシューゲイザーやドリームポップ、シンセポップにR&Bなど、新旧邦洋問わず様々な音楽への理解とリスペクト、そして何より彼らの美意識や美学を感じられる点が、For Tracy Hydeの大きな魅力の一つです。
とにかく、聴いていきましょう。
2017年に発表された2nd『he(r)art』の時も「やべぇバンドがいるもんだ...」と思いましたが、今作はそこから更に洗練してきました。びっくりしちゃった。
For Tracy Hyde - Can Little Birds Remember?
For Tracy Hyde - Can Little Birds Remember? (Official MV)
アルバムの13曲目に収録されている『Can Little Birds Remember?』
テンポが速い!テンポが速い、それは名曲の証。
音の温度とテンポ感だけですが、exloversのstarlight,starlightを思い出しました。的外れだったらすまねぇ。
あとはやっぱりスーパーカーとか想起しちゃいますね、STORYWRITERみたいな。2000年代初期のインディミュージックへの強烈なリスペクトを感じさせつつも、For Tracy Hydeの音になっているのは、それらを吸収して昇華するソングライティング・サウンドメイクの為せる技でしょうか。
それにしても音楽から映像まで、イメージの統一感が素晴らしいですね。徹底してる。映像の中にポラロイドカメラが出てきますが、そういうのが好きなんだろうなって。
For Tracy Hydeは結構いろんなフレーズを引用的に用いることが多いので、この楽曲にも恐らく僕の知らないバンドへのリスペクトが隠されていることかと思います。
僕はあまり音楽に詳しくないので彼らの楽曲の引用元はちょっとわかりません。
ただ一つ分かるのはこの「Can Little Birds Remember?」というタイトル、これは確実に『氷菓』から取ったものであろうということ。分かります。オタクなので。
氷菓の内容がちょっとうろ覚えなので、この楽曲との関連性は分かりませんが、もしかしたら歌詞にもリスペクトが入っていたりするのかな?
For Tracy Hyde - 櫻の園
For Tracy Hyde - 櫻の園 (Official MV)
アルバムの15曲目に収録されている『櫻の園』
歌詞よ、歌詞。この曲は詞を聴いてくれ。
重なりあって、
生まれ変わって、無垢なままで愛しあって生きてゆける魔法なんてなくて、
それでも愛を、
暮らしの哀を、
港の藍を、
知らないそぶりなどできない。
こんなん書けます?俺には書けんわ。普通こういうバンドってもっとよく分からん歌詞書くもんではないんか?(これは今日の偏見です)
櫻の園、というとやはりチェーホフの同名戯曲の印象が強いところではありますが、多分関係ないです、多分。
楽曲的にはCocteau twinsやSlowdiveを彷彿とさせるシューゲイザーサウンドですが、ボーカルであるeureka氏の柔らかく華やかな声質もあり、良質で聴き心地の良いJ-POPとして着地しています。
これぞFor Tracy Hydeですよ。売れろ。
おわりに
For Tracy Hyde - 3rd Album『New Young City』Trailer
とりあえずMVが発表されている2曲についてほんの少しだけ所感を書きましたが、全曲良いので、全部聴こう。
Spotifyでも聴けちゃうぞ!
ハッピーアイスクリームからライトリークまでの流れが本当に最高。青春、感じちゃうよね。
本当に随所の随所に至るまで彼らの美意識が行き届いた名盤です。是非ともアルバムを通して聴いてみてほしい。
では。
セカイ系おしゃべりJPOPユニット『ポップしなないで』を褒める
こんにちは。
皆様、ポップ聴いてますか。ポップ。
聴いていない人は聴きましょう。聴いてる人はもっと聴きましょう。
ということで、今回は先日見つけたナイスなポップユニット『ポップしなないで』を紹介、もとい褒めていきたいと思います。
ひとまず、この曲を聴いてね。
良す良すファンタジアか?
今日の語彙は全体的にこんな感じでいきます。考えず、感じましょう。
『ポップしなないで』の簡単な紹介
『ポップしなないで』とは
ボーカルのかめがい、ドラムのかわむらによる、セカイ系おしゃべりJPOP。
らしいです。セカイ系おしゃべりJPOP。なるほど。
サブジャンルの先鋭化も遂にここまできたか、と言った印象ですが、確かに一言で彼らの楽曲を表すとそんな感じがしますね。
それぞれの楽曲にはしっかりと彼らの哲学、もとい世界観を感じますし、ラップに近いポエトリーリーディング要素(おしゃべり)も取り入れつつ、サビメロやリフは非常にミニマルかつキャッチーで最終的にはJPOPに軟着陸させています。
正しくセカイ系おしゃべりJPOPですね。自分たちのやっている音楽の構成要素をしっかりと把握出来てるってのは、彼らの大きな強みの一つだと思います。
まぁ、言葉で説明しても分かりにくいよね。
実際に曲を聴きつつ、セカイ系おしゃべりJPOPを体感していきましょう。
セカイ系おしゃべりJPOP楽曲
言うとおり、神さま
まず、僕のイチオシ楽曲「言うとおり、神さま」から。
彼らの標榜する「セカイ系おしゃべりJPOP」を最も体感出来る楽曲ではないかと思います。超良くないっすか?超良いでしょ?僕はとても好きです。
楽曲は全体を通してミニマルかつタイト、かつキャッチー。至る所から様々なDNAを感じますね。
セカイ系特有の解釈の余地を残した歌詞、ポエトリーリーディング的な癖の強いボーカル、ブラックミュージック的なタイトさを持つドラム、FXを廃した楽曲構成、一つ一つの要素はおよそポップスからかけ離れているものの、完璧にJPOPとして成り立っています。あとMVがとても良い。歌詞と合わせて、色々と妄想が膨らみます。
いや本当に素晴らしいバランス感覚よね。ここから足しても引いても、崩れちゃう絶妙なとこで立ち止まっている感じ。良い。僕はこういうトラック数の少ない音楽が大好きです。
JPOPっていうのは、楽曲の土台部分にストリングスやらブラス、シンセ等の上物や効果音を足して足して作っているので、音数が多くなりがちなので、こういうミニマルなJPOPがより魅力的に聴こえます。下北沢で聴きたい。
丑三キャットウォーク
続いて「丑三キャットウォーク」曲名が良い。ジェンガをする為だけに画面にいるU-zhaanも実に贅沢で良いですね。
おしゃべり要素は抑えつつ、かめがい氏のボーカルとしての色を前面に押し出した楽曲ですね。フレーズごとにボーカルの色がガラッと変わります。あと微妙にシンセ、というかオルガンのような音が上の方で鳴ってます。本当に微妙にですが。4つ打ちサイコ〜!!!
それにしても、僕の中で彼女の歌声の第一印象は「YUKIとMOSHIMOの合いの子」って感じなのですが、こちらの楽曲で再評価の必要性を感じました。こんなソウルフルに歌えたんやね。すまねぇ。
終始ボーカルの遊びに耳がいく楽曲ですが、サビなんかは特に面白いですね。発声や息の抜き方と溜め、フォールやしゃくりが1フレーズ毎にどんどん変わっていきます。本人はめちゃくちゃ楽しそうに歌っているけど、こういうのを他の人がちゃんと歌おうとするとめちゃくちゃ難しいんですよね。サブカル系ですがしっかり上手い。良す良すです。
魔法使いのマキちゃん
ここまで挙げた4曲の中では最も古く、2017年発表の「魔法使いのマキちゃん」ですが、この時点で既に完成されてますね。
それにしてもこの二人はどこで出会ったんだろう。
ここまで聴いてきて、なんというか二人のバックグラウンドにそこまで共通点を感じないんですよね。リズムの素養が異なるというか。まぁ、僕の気のせいかもしれませんが。
タイトな縦のリズムと横に揺れるボーカルの対比が楽しいこちらの楽曲。相変わらず語尾のバリエーションが実に豊かです。4つ打ちに付点8分のリフも気持ち良いですね。非常にシンプルなリフレインですが、不思議と寂しさは感じません。
あとセクション毎のリズムの変化ですね。サビという感じはしませんが、リズムがハーフになる箇所は様々な音価が重なり合ってとても気持ち良い。リズムに関してはかわむら氏のアイデアが多かったりするのかな?
『ポップしなないで』の謎というか、面白いところは色々な要素が独立しているところんですよね。これはちょっと変な表現かもしれませんが。
リフやリズム、コードなんかが、それぞれ噛み合わないような雰囲気を持っているにも関わらず、なぜかこれ以上なく噛み合ってJPOPに昇華されているような感覚です。あまりうまく言えなくて申し訳ないんですけども。
あとがき
はい。こんなところでしょうか。
『ポップしなないで』の魅力が少しでも伝われば嬉しい。
しかし色々と書いておいてなんですが、百文は一聴にしかず、です。聴いてね。
僕は大体いつもダラダラと書き連ねがちなのですが、『ポップしなないで』のミニマルさを見習い、今回は短めに、ここらへんで締めたいと思います。
最後に
『ポップしなないで』の3rdアルバム「禁じられてはいない遊び」のレコ発があるそうです。楽しみっすね。
では。
80年代J-POPを褒める
こんにちは。
今日褒めたいのは80's J-POPでございます。
故きを温ねて新しきを知ろう、がテーマ。元号が2つも入れ替わった今の時代だからこそ、聴こえてくる音もあるかと思います。たぶんね。
ちょっとした前置き
さて、最近はエモだったりVtuber楽曲だったりと比較的新しめの音楽を褒めていたこちらのブログで、なぜ急に「80'sの音楽を褒めよう」という思考に至ったかと言いますと、ひとえにこちらの楽曲が最高だったからなんですよね。
ブラウン管テレビのような若干煙がかったような色味、4:3の縦横比、ゆったりとしたホワイトスーツに身を包む山口一郎、謎のダンスを踊るアベック、謎のヤシ、MVに映る全てがバブリーです。「2019年ってなんや、今は1983年やぞ!」とでも言わんばかりに畳み掛けてきます。こんな世界観、今時Vaporwaveでしか見られないと思っていたのですが、やってくれましたね。最高だよ。お前あなたは最高、山口一郎。お前は不適切な表現なので使いません。時事ネタは積極的に取り入れていこうね。
当然ながら楽曲も80'sをリスペクトしたものとなっております。
サカナクションってポップなパブリックイメージの割に結構実験的というか、少々古めのモチーフを楽曲に取り入れてくる事は以前からちょくちょくあったのですが、ここまでド直球かつ明確にイメージした楽曲はなかったかなと思います。ましてやA面ですよ。A面って響きも最近では聞かなくなりましたが、これはA面と表現するのが正しいでしょう。
音色は実に80'sらしいシンセサウンドが終始散りばめられていますが、音質は非常にハイファイ。今の若い世代の耳にもスッと馴染んでくるように、しっかりとモダナイズされています。このバランス感覚が本当に素晴らしくて、正に温故知新を体現した楽曲だな〜という印象です。ガラパゴスと揶揄されがちなJ-POPにも(だからこそとも言えますが)連綿と受け継がれるDNAはやはりあるんだなと。嬉しくなっちゃいますね、こういう楽曲を聴いていると。
というわけで、上の楽曲を聴いた私は「80'sのJ-POPを褒めてぇ!」となったわけです。J-POPは年代問わず大好きだけど、きっかけなしに80's J-POPなんて語り始められないし。
80年代におけるJ-POP
80年代、それは80年代。
平成は激動の世と口々に評されておりますが、平成真っ只中の80年代も言わずもがなと言ったところです。そして音楽にとっても、中々に激動の時代でございました。
80年代というのはJ-POPの歴史を紐解く際に、中々重要なシーンでございます。というのも、80年代のJ-POPシーンにはシンセサイザーが日本で市民権を得ていく過程が詰まっているんですね。
YMOというバンドは皆様、一度は耳にしたことがあると思います。
80年に発表された、日本における「テクノポップ」のアイコンとも言える楽曲です。同時に歌のないインスト楽曲にも関わらずオリコンチャートにも登場した、異例な楽曲とも言えますが。おそらく大抵の人はどこかしらで耳にした事があるかと思います、吹奏楽なんかでも良くカバーされますしね。
上記、YMOは日本のみならず、世界の音楽にかなり大きな影響を及ぼしました。このYMOのスマッシュヒットを起点に、シンセサウンドが日本のミュージックシーンに普及し始め、1983年に発売されたYamaha DX7という傑作デジタルシンセサイザーの大ヒットによって、より広範に至る事となります。
今となっては中々想像しがたい事ですが、70~80年代初頭のシンセサイザーはモノフォニック、つまり単音しか出せないアナログ機種が主流であった為、J-POPの中で効果的に利用するのは色んな意味で難しかったんですね。そこにYMOの登場と、和音を弾くことが出来て、かつ比較的安価なデジタルシンセサイザーが登場したことで、シンセサウンドが一気にJ-POPのメインストリームにのし上がってきた訳です。
という訳で、80年代J-POPを追うことは、即ち日本に置けるシンセサウンドの進化・浸透を追うことに近しいと言えるでしょう。そういう観点で音を聴いてみるのも、中々楽しいのではないかと思います。
80年代J-POPを褒める
青い珊瑚礁 / 松田聖子
80年代J-POP楽曲紹介の1曲目として、何を挙げるか少々迷いましたが、この楽曲なら文句は出てこないでしょう。改めて聴くと本当にめちゃくちゃ良い曲だな。
これぞ正に80'sって感じの音使いですよね。コーラスが強めにかかったギター、シンセベルの裏メロ、Bメロの謎パーカスなどなど、この年代を象徴する音がこれでもかと散りばめられています。
それとイントロのピアノも実に印象的ですが、これはおそらくCP80で録音されたのかなと思います。八神純子が使っていた事で有名な、いわゆるエレクトリックグランドってやつです。最高。僕はエレピが大抵の物事より好きなんですよ。
にしても、やっぱり編曲がとても良いですね。この楽曲は『みずいろの雨』で有名な大村雅郎氏が編曲を担当しておりますが、流石としか言いようがないっす。イントロのブロックコードやストリングスの駆け上がりフレーズなんかは特にらしさが出てますね。
セーラー服と機関銃 / 薬師丸ひろ子
薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」 1stシングル, 1981年11月 [HD 1080p]
1981年発売、薬師丸ひろ子のデビューシングル。120万枚売れたらしいです、シングルが。すげぇ時代だ。
楽曲はかなりシンプル。THE・歌謡曲って感じですね。最近の楽曲はトラックが少ないように聴こえて実はめちゃくちゃ多い、みたいな事が多々ありますが、この年代の楽曲はそういう事があまりないので安心です。SEがほとんどない楽曲って、今となっては結構新鮮ですね。
改めて聴くとドラムがかなり特徴的ですね。特にイントロ。静かなアルペジオとキーボードのバッキングの裏で、スネアのような役割で鳴ってる音はタムですかね。80年代のドラムというとゲートリバーブを強くかけたスネアの印象が強いですが、楽曲中の効果としてはそれに近い感じかもしれません。
歌謡曲は、このダサさがいいですよね〜。起伏の少ないマイナー調のメロが日本人の遺伝子にグッときます。メロデッィクマイナーっぽいなんともダウナーなメロがよろしおす。
Sparkle / 山下達郎
上記2楽曲から少々飛んで、1989年に発売された山下達郎の代表曲。ソウルの素養を感じるイントロのカッティングフレーズがめちゃくちゃ有名ですよね。音色も実に80年代らしい。この楽曲によって、山下達郎のトレードマークがあのテレキャスターになったと言っても過言ではないんじゃないかな。
この曲はリズムのグルーブ感が全てですね。山下達郎のカッティングは言わずもがな、青山純と伊藤広規のリズム隊が最高すぎる。オクターブスラップは効果的に用いるとエグいくらい映えますね。ブラスセクションもそうですが、横のリズムが揺れていても縦のリズムがしっかり合っているので聴いていてとても気持ち良い。流石は往年のスタジオミュージシャンと言ったところですね。
踊り子 / 村下孝蔵
良すぎか。
1983年発売、村下孝蔵の6thシングル。中森明菜や高橋優がカバーしてたり。もうビジュアルからして最高に80年代ですよね。
時代柄当然ですが、これもまた歌謡曲〜って感じの楽曲ですね。随所に挿入されるシンセサウンドが実に80年代。こうして徐々にポップス、歌謡曲にシンセサウンドが浸透してきた訳です。今聴くと、まぁ音色はかなり古めかしいですが、メロが良いので全然聴けるんじゃないかなと思います。どうだろうか。
それにしても歌が異様に上手い。80年代は今のように修正技術が発達していなかったので、地の歌が上手い歌手だらけなのですが、その中でも単純な歌唱力では群を抜いてるように思います。ちなみに村下孝蔵はギターもめちゃくちゃ上手かったりします。すごい。
Get Wild / TM NETWORK
みんな大好きGet Wild。この曲を知らん日本人、見た事なし。後世への影響度で言うと、この楽曲を超えるものは中々ないかもしれない。小室哲哉を擁するTM NETWORKの10thシングルであり、80年代を代表する名曲です。止めて、引く。
80年代J-POPって言ったら小室哲哉は外せないっすよね。今やありふれた構成となったロックとダンスミュージックの融合におけるターニングポイントとも言えます。イントロのメロからのリフは本当に天才のそれ。
この楽曲の大きな特徴の一つとして、スネアが鳴らない点が挙げられます。他の要素が強すぎてそれほど印象に残らないかもしれませんが、ビートもかなり面白いんですよね。スネアは鳴りませんが、ゲートシンセとリフがリズミカルなのでしっかりと縦のリズムも感じる事が出来るあたり、音楽って面白いよね。
80年代の楽曲を聴いていて思うのは、この時代は実験的な要素と伝統的な歌謡の融合を目指した時代であり、歌謡から現代的なJ-POPへの過渡期でもあるんやな〜って事ですね。音の1つ1つに挑戦的な意図が見受けられたりして、そういった点も聴きごたえがあります。
後書き
5曲紹介したところで締めときます。
全然足りませんが、80年代って良い曲が多すぎて切りがないので、キリの良いところで切らないとどこまでも書けちゃう。怖い。
オタク、みんなで80年代を聴いてリバイバル起こそうね。革命や。
エモを褒める
こんにちは。
7月ですね。夏です。エモの季節。なろうぜ、感情。
はじめに
先日Twitterを眺めていたら、なんだか「エモい」という単語について怒っている人を見つけました。曰く「私たちにとって、エモは特別」とのこと。なるほど。
"エモ"とは"Emotional"を語源とする音楽ジャンルの一つ(個人的にはこの時点で既に異論しかありませんが)らしいです。Wikipediaにも書いてあったので、間違いありません。世界の真実はWikipediaによって決まりますので。
昨今の日本では「エモい」という若者言葉を頻繁に耳にします。上に書いた人はその乱用に怒っているらしいですね。自分にとって特別な「ジャンルとしてのエモ」に端を発する「エモい」という単語がやたらと乱用される現状を憂いているようです。
個人的にはどちらもEmotionalからの派生語だと捉えているので、いまいちピンときませんが。とはいえ、その気持ちは分からなくもありません。自分の好きな場に土足で踏み入られれば、誰でも気にくわないものですからね。
ジャンルとしてのエモ
さて、ここは音楽について書き記すブログなので、音楽としてのエモも語りたいです。褒めたい。それが主題なので。
まず、エモというジャンルについて。
エモとはざっくばらんにいうとロックのサブジャンルです。エモという単語が生まれた90's当初は、パンクとかインディポップから派生した、物寂しいようなノスタルジーを感じるような、優しいような、なんか知らんけどそういう感情に訴えかけてくる音楽を指すものでした。
この"ジャンルとしてのエモ"の厄介なところはですね、時代によって指す音楽性が全然違っちゃってる事なんですよね。今のエモと90'sのエモって全然違うんです。
90'sにエモとされていたバンドはAmerican FootballとかFugaziとか、Mineralあたりでした。かっこいいよね。大好き。
しかしながら時代が移るにつれて、Panic! at the DiscoとかFall Out Boyとか、そういうバンドがエモとされるようになっていったんですね。グランジみたいなもんです。
なので正直「エモい」について怒ってる人の記事を見た時は「いや、"エモ"を奪っていったって意味では君達も同じでゎ?」って感想しか出てこなかったんですよね。
"ジャンルとしてのエモ"は元々ナードのものだったんですよ。しみったれたオタクの惨めな音楽だったんです。日陰者がどうにかこうにかステージに上がって、何者かになるための音楽だったんですよ。元々は。そこからどんどんエモは商業的な音楽になっていったわけです。
でも言葉っていうのは変わっていくモノなので、それはそれで良いのです。そもそも僕はエモをジャンルとして語るのが嫌いだし、それで良いのです。商業音楽大好き。
この世の音楽はすべてエモ
僕がなぜエモをジャンルとして語るのが嫌いかというと、世間一般ではエモが「感動的、感情的な音楽」を指すらしいから、なんですね。
いやそんな事を言ったら、この世の中に存在する音楽は全部エモじゃないですか。逆に誰も感動させられない音楽ってなに?逆にそれを探す方が難しくない?
なので音楽ってのは元々全部"エモ"だし、全ての人にとって等しく"エモ"といえる音楽は存在しないんです。なにを聴いて"エモ"になろうが、その人の自由なので。
僕にとっての"エモ"はAmerican Footallだし、エモキッズにとっての"エモ"はAs I Lay Dyingかもしれないし、女子高生はタピオカを飲んで"エモ"になるし、子持ちのお母さんにとっては子供の歌がなによりの"エモ"なんですよ。
この世の音楽はすべてエモ。お前のエモと俺のエモでエモ・バトルや。
俺のエモのコーナー
という事でこれより下は僕の"エモ"を紹介するコーナーです。聴いてね!褒めるぞ!
The Summer Ends / American Football
American Football - Summer Ends "Live at Webster Hall, NYC, NY"
世界一カッケェ。俺もエモ・ザ・ベストはこいつらや。
鳴ってる音全てがエモい。いや本当にエモいな。全てがエモい。American Footballの曲は基本的に全部クソエモですが、僕はこのThe Summer Endsが一番好きです。夏は別れの季節、夏の終わりの寂寥感は何物にも変えがたいのです。
ちなみに僕は学生時代好きな人にこの曲を聴いてもらったら「いつ歌始まるの?」と言われてちょっと悲しかった思い出があります。何も言えんかったわ。だってその子は嵐が好きだったし。嵐は1分半もイントロに使う事ないもんな。俺があかんかったよ。みんなも好きな人にAmerican Footballを聴いてもらう時は気をつけてね!
Light Dance / Akira Kosemura
【MV】Akira Kosemura - Light Dance
もうこの2曲だけで、俺のエモの方向性が分かってきたんじゃないかと思います。
ピアノだけの非常にシンプルなインスト楽曲。ライブ盤だとストリングスが加わってそれもまたエモいのですが、ひとまず原曲版を聴いてね。
いや、エモすぎか?僕はこういう夏を感じさせる楽曲に非常に弱いです。歌はないし特別テクニカルな事もやってないし、全ての人に好きになってもらえるような楽曲ではないかもしれないけれど、僕はとても好きです。特に3:26~の展開が最高に良い。エモは残響に始まり、残響に終わるのです。
Blueprint / Fugazi
主にハードコアバンドを擁するインディーズレーベル『ディスコード・レコード』のオーナーであるIan MacKaye率いるハードコアバンド。90'sのエモシーンを代表するバンドの一つです。当時はエモコアなんて呼ばれてたりもしましたが、本人は嫌がってたみたい。まぁ、しょうもないっちゃしょうもないですからね。
「Fugaziから挙げるならWaiting Roomじゃない?」などという考えが頭をよぎりましたが、僕は1stより2ndの方が好みです。古き良きパンクといった感じの音ですよね。ハードコアパンクと言いつつ、テンポは比較的ゆったりしてますね。そこもまた良し。
90'sエモの特徴としてヘロヘロボーカルがありますが、Ian Mackayeのボーカルもお世辞にも上手いとは言えません。そこが最高。そこがエモ。
Sweetness / Jimmy Eat World
Jimmy Eat World - Sweetness (Official Music Video)
上で「エモは時代によって指す音楽が大きく異なる」と書きましたが、Jimmy Eat Worldは「旧エモ・新エモ」の中間地点にいるようなバンドです。時代的にも音楽性的にも、後代のエモバンドに大きな影響を与えつつ、旧エモ層からも大きな支持を得ています。かっこいいよね。
Sweetnessは僕にとってJEWで一番エモい曲です。切ないメロディ、一本気なバンドサウンド、そしてシンガロン、全てが最高。ライブでオー↑オー↓オー↓オ↓オ↑オー↓したい。メジャーとマイナーの対比も最高に熱いです。最高!
Seven / Sunny Day Real Estate
Sunny Day Real Estate - Seven [OFFICIAL VIDEO]
しょっぱい。ギターの音がしょっぱすぎる。最高。
上で挙げたJEWも影響を受けたと語る、エモの金字塔と言えるバンドです。MV見てもらえると分かるんですけど、ヒョロイですよね。どいつもこいつもしまむらのワゴンセール490円くらいで買ったようなヨレヨレの服着てる。そういうダサい奴がギターを掻き鳴らして叫んだのがエモの始まりな訳です。このダサさ、しょっぱさが最高にカッコいいのがエモ。
このSunny Day Real Estate、本当に多くのバンドに影響を与えていまして、有名どころでいうと伝説的なエモバンドであるMineralとか、同じく90'sエモシーンを駆けたThe Get Up kidsなんかも影響を受けたらしいです。エモを語るには外しちゃあかんバンドというわけですね。
ちなみにアルバムごとに音楽性が結構くっきり変わるのも面白いところ。サブスクで聴けるので聴こうね!
Parking Lot / Mineral
上でもちょろっと触れましたが、90'sエモシーンのトップを走りきった伝説的なバンドMineralでございます。カッコよすぎる。活動期間が4年というのもカッコいい。ちなみに最近復活しました。
エモバンドの例に漏れずボーカルが不安定です。最高。歌があんまり上手くなくてもステージ上では最高にカッコイイボーカルになれるんや。にしてもこの動画、後半の展開がいつ見ても最高ですね。
あと、これは不変の真理なので覚えておいて欲しいのですが、音はデカければデカイほどカッコイイしエモです。エモくなりたければ音量を上げろ。
とりあえず6曲エモいのを紹介しました。流石に文量が多くなってきたので、そろそろ締めに入ろうと思います。いくらでも紹介できちゃうので。
終わりに
エモの二文字が完全にゲシュタルト崩壊しました。
エモってなに。なんもわからん。
まぁでも、分からんで良いと思います。感情なんて基本的によく分からんもんです。よく分からんまま、各々が各々のエモいものに触れて、エモになればそれで良いのです。
最後に、皆様がそれぞれのエモを見つけ、エモ・SUMMERを過ごせる事を祈っております。僕も最高のエモ・SUMMERを手に入れます。サクレで。
Vtuber楽曲を褒める オススメ楽曲10選
こんにちは。
今日も今日とて、褒めていくぞ。
読まなくても良い前置き
最近Vtuberの勢いがすごいですね。ちょっと前まではKizuna AIとかミライアカリ、のじゃロリさんくらいしかいなかった気がしますが、今はもう10000人近くいるみたいです。怖。
Vtuber達は元来、様々な実験や検証、ゲーム実況なんかがメインの活動の場だったかと思われます。しかしながら現在ではVtuber同士の対談、ファンとのフィジカルな場でのコミュニケーションも盛んになり、最近では歌やダンスなど、活動内容は多岐に渡ります。調べたら本当に色々やっててすごい。
上記に挙げた中でも、特に音楽はVtuber文化との親和性が非常に高いんですね。既存楽曲の歌ってみたは勿論のこと、最近では作曲者達からオリジナル楽曲の提供を受けてVtuberが歌を入れたり、なんならVtuber特化の音楽レーベルなんかも設立されたらしいです。スピード感たるやもう...
今回はそんなVtuberの音楽達を褒め散らかしたいと思うわけです。良い曲多いんですよ、本当に。多感な青春時代をボーカロイド楽曲をはじめとしたネットミュージックと共に過ごしてきた我々20代音楽オタクにとって、このムーブメントは実に身近に感じられますね。楽しい。
前置きは以上、ここから本編。褒めるぞ。
Vtuber関連楽曲オススメ10選
1. Kizuna AI / AIAIAI
Vtuberの親分事Kizuna AIの歌うkawaii EDM
もはや説明不要かと思われますが、今日の話題的に触れないのは無理なんすよね。
僕のV音楽掘りはKizuna AIから始まりました。文化の始まりという意味では「Hello, Morning」の方が正しいかなとも思いますが、文化としてみた場合、映像の面白さや中田ヤスタカ氏とのコラボという点も踏まえて、こっちを挙げておきます。まさにヴァーチャルリアリティですよ。
楽曲は流行りのKawaii EDM。可愛い。中田ヤスタカサウンド全開。ダンスミュージックの中にオリエンタルな音を混ぜてキャッチーに着地させるのが本当にもう、最高です。あと可愛い。2サビ〜の展開の落差も最高。オタクからクラブへ。白金ディスコからDeep Houseへ。可愛いもの以外画面に一切映らないのがもう可愛いですね。可愛い。
2. 燦鳥ノム / Life is Tasty!
曲が良すぎてキレたのは久しぶりです。控えめに申し上げて令和のマスト。Life is Tasty!を聴かない人、人間の耳がなんの為についているか、ご存知ですか?Lifi is Tasty!を聴くために決まってんだろ。聴こう。
作詞作編曲はカゲロウデイズでおなじみのじん氏。道理でな。刺さる訳だよ。
オタクは基本的に明るく爽やかなバンドサウンドにストリングスを入れられるとなす術なく死に絶える哀れな生き物なのです。良すぎて死んじゃう。楽曲を構成する全ての要素が最高。というか燦鳥ノムさん歌上手いですね、声も軽やか。良いなぁ。こういうボーカルにはブラス多めのスカポップも歌って欲しくなりますね。頼むぜ。
ちなみにこちらの楽曲はサントリー「クラフトボス」のイメージソング。この楽曲を聴いてからというもの、コンビニでつい手が伸びるようになってしまいました。
お布施が出来るって、素敵な事だと思うな。私は。そう思いませんか?
3. ときのそら / Dream ☆ Story
VtuberJKときのそらが送る正統派ガールズポップ
JKなんですか?ここ重要なんですけど、JKなんですか?後で調べておきます。重要な事なので。
それにしても曲がめちゃくちゃ良い、これぞイメージソングって感じですよ。セクション毎のリズムの変化が豊富で飽きないですね。シンガーソングライトではなく、DTMが主戦場の作家の強みが存分に活かされていて良いなぁ。
ネット発の作家が増えてきて、メインストリームに上がる音楽の編曲面でのバリエージョンは圧倒的に豊富になりましたよね。特にリズムセクション。聴いてて面白い、楽しいっていうのは、音楽にとって何より大切だと思います。
いやー、でもこの曲ずっと聴けちゃうな。僕は典型的なキモ・オタクなので、アニソンやアイドルソング大好きなんですけど、全てのトラックにツボを殴打されている感覚です。超良い。
4. 樋口楓 / WISH!
でろーんの愛称で知られるVライバー樋口楓によるガールズスカポップ
キレてる。良すぎて。
オタクはブラスが好きです。古来より遺伝子にそう組み込まれているので。親鳥が初めて目にした親鳥の後をついて回るように、オタクはブラスの音で腕を振り上げるように生まれた時から決まっているんですね。
上に書いてあるように、ブラスサウンドをフィーチャーしたガールズポップです。そしてシンコペーション。Q&Aリサイタルの系譜にある楽曲といえば、分かる人には分かるでしょう。分からない人はそっちも聴こうね。
ところで樋口楓さんの楽曲はブラスをフィーチャーした楽曲が結構多いのだけれど、そういうバックボーンがあったりするんでしょうか。吹奏楽部に入ってたりしているのかな。ただ吹奏楽や部活をイメージさせる音やビジュアルは青春のアイコンとして優秀なので、彼女のイメージには良く合致していますね。最高や。
5. まりなす(仮) / JUST IN MY HEART
Vダンスボーカルユニットまりなす(仮)の歌うavexサウンド
あまりにもavexサウンドが過ぎる。イントロだけ聴いたら完全にGIRL NEXT DOORやろこれ...と思ったらマジでavexプロデュースらしいです。手広いなavex。
最近某アーティストがPVでパラパラを取り上げて話題になったりしましたが、90'sJPOPリバイバルの波でもきているのでしょうか。僕は一向に構いません。90年代JPOPはええぞ。
楽曲的には上に書いた通りです、完全にavexサウンド、もしくはTKサウンド。既聴感のあるシンセリフに既視感のあるダンスですが、1週回って新しく感じますね。ほんのりDub系のLFOフレーズも入ってきますし、温故知新ですね。久しぶりに聴いたなこういうの。
しかしながら、こういった楽曲はヴァーチャルユニットとの親和性が高いですね。本MVでは何故か砂漠のような踊っているシーンから近代的な建造物内のシーンへと移っていきますが、90年代特有の謎近未来イメージが描きやすいキャンバスなのではないかと。
6. YuNi / 花は幻
VシンガーYuNi × la la larksによるJモダンポップ
かっけぇなおい。sfp好きには間違いなく刺さるでしょうこれは。だって刺さっとるし。俺に。sfpを知らなくてもノイタミナが好きな人にも間違いなく刺さるでしょう。刺さっとるし。俺に。
リズムとバッキングの噛み合いが面白い。インターバル次第で聴こえ方っていくらでも変わってくるんですよね。面白いです。響きは複雑だけど、展開自体はシンプルですね。特にサビはとてもシンプルでボーカルがとても際立ってますね。リズムは忙しないけれど。色んな意味でガラパゴスJポップの極致のような楽曲です。これだからV音楽掘りはやめられねぇな。
あと、この楽曲はパンニングがとても面白いので、聴く時は是非ともイヤホンやヘッドホンで聴いてみてほしいです。こういう音楽は目を閉じて聴きたくなるね。
7. 星街すいせい / 天球、彗星は夜を跨いで
アイドルVtuber星街すいせいの歌うエモーショナルギターロック
僕はこういう音楽が大好きです。オタクなので。ギターロックって最高だよな。これがギターロックかどうかは知らないけど。
作詞作編曲はこんにちは谷田さん名義ボカロPとしても活動していた、シンガーソングライターのキタニタツヤ氏。納得感しかない。そりゃ好きだよ。オタクなので展開するときにギターのカットアップフレーズがあったりすると、それだけで好きポイントが8億点ほど加算されます。ちょろいもんだな、オタクは。その上にクリシェもある。死んじゃうよ。
ボーカルも良いですね。正統派なアイドルらしい歌声ではないけれど、こういうリズムの立ったロック調の楽曲には低めので逆立った女性ボーカルがとても合います。いやー、カッコイイ。ずっと聴いてられますね。アルバム出してくれ。
9. Virtual Cat / Kazenone
V文化の最先端を担うバーチャルねこによるチルアウトミュージック
良す〜。上で紹介してきた8曲とは大分毛色が異なりますが、大好きです。一押し。
チルアウトという単語に馴染みがない方もいるかもしれませんが、大雑把に説明するとスローテンポでゆったりとした電子音楽みたいな解釈で大丈夫です。明け方に聞きたくなりますね。良い。日本のポップミュージックは基本的にトラックを重ねに重ねますので、こういった音数少なめの音楽はクールダウンにちょうど良いです。
それにしても最近のねこは良い声してるし良いトラックを作るんですね。なんともいえない表情をした近影も良い。何を見ているんだろう。
10. 久遠千歳 / Zero In Zero
不老不死Vtuberってなに?俺も知らん。でも彼女自身が不老不死って自己紹介していたので、不老不死なのでしょう。実にサブカル。
基本的に文化が成熟し、メインストリームが出来上がれば同時にサブカルチャーが生まれるのは現実でもバーチャルでも同じ事らしく、つまり彼女はそういった立ち位置にいるのだと思われます。Kizuna AIが新宿渋谷だとしたら、久遠千歳は高円寺や下北沢にあたるのでしょう。この例え方、多分バンドマンにしか通じねぇな。
楽曲的にも実にサブカル。ラップ部分はUKドリルに似た要素も感じますが、全体を通して聴けばポップの範疇に収まるかと思われるので、雑に括ってダークポップと称しました。ここに関しては聴く人によって色んな解釈が出来るかと。ちなみに全く話は変わるんですけど、この楽曲が好きな人はサリーっていう東方アレンジサークルが刺さるかもしれません。そっちもオススメです。
不老不死といい楽曲やビジュアルイメージといい、世界観が出来上がってますね。良い。現実でやると少し苦しくなるような表現でも、2.5次元に落とし込む事でほどよくマイルドかつ受け入れやすくなるのはVtuberの大きな武器ですね。
V楽曲は良い
はい。ひとまず10曲を紹介しました。
良いですよね、V楽曲。やっぱり楽曲提供してる層が層なので、ボーカロイド楽曲をよく聴いていた、もしくは現在進行形でよく聴いている人にはドンピシャな楽曲が多いっすね。今回は比較的有名な層の楽曲しか拾っていないので、次回はもうちょっと広めにみていきたいかなと思います。
V、聴こう。
若手インディーズバンドを褒める ギターロック編
こんにちは。
皆様、インディーズバンド、聴いてますか。インディーズバンド、聴こう。
今の音楽業界は群雄割拠アンド戦国乱世、粒ぞろいのインディーズバンドが出ては消え出ては消えを繰り返しております。技術の進歩によりプロとアマチュア(こういった区別さえも無意味なものになってきましたが)のクオリティの差が限りなく少なくなってきています。
もちろんピンキリではありますが、一昔前では考えられないくらいハイクオリティな音源やMVを引っさげてインディーズシーン、ネットミュージックシーンに名乗りを上げるバンドが、それはもう沢山いるわけです。音楽好きとしては実に素晴らしい時代ですね。Youtubeとかで掘ってると時間がいくらあっても足りんのです。
というわけで、今回は最近見つけた僕の好きなインディーズバンドを褒めたいなって思うんですよ。全国津々浦々、良いバンドはいるもんです、本当に。ただ、あまりにも良いバンドが多すぎるので、数回に分けて書きたいなと思います。今回はギターロック編だよ。暑くなってきたし、爽やかな音楽を聴こう。
ギターロックってなんぞや
「今回はギターロック編」などと申し上げましたが、まずギターロックってなんやろな。俺も分からん。何も分からん。だってwkipediaに書いてないし。そもそもロックって時点で大抵の場合ギターはそれなりにフューチャーされてる訳で...
まぁ結局よく分かりません。多分ギターロックって言葉を使ってる大体の人達も僕と同じく「う〜ん、こりはギターロック!w」みたいな感じで適当にギターロック認定してると思うので、ひとまず僕も「う〜ん、こりはギターロック!w」と適当に思うバンドをいくつか取り上げます。ひとまず例として。
radiohead / The Bends
Radiohead - The Bends (FULL ALBUM) [Live]
ギターロックはなんぞやって語り出しで1枚目にradiohead出すの、アホでは?いや、しかしこのアルバムはギターロックですよ。ギターロック。だってギターの音が大きいから。そしてジャンルはロック。な?紛れもないギターロックや。
雑な語りから始めてしまいましたが、それくらい大雑把にくくる事の出来ちゃうサブジャンルって事です。とりあえず楽器の中でギターが一番目立ってるし、ソロもあるし、なにより僕がギターロックだと感じるので、これはギターロックです。最高!
ASIAN KUNG-FU GENERATION / ソルファ
ASIAN KUNG-FU GENERATION 『リライト(2016ver.)』
いや、分かるよ。「radioheadに続いてアジカン?」って思ったのは、うん、分かるよ。つまりそれくらい広いって事なんです。ギターロックって単語でカバー出来る範囲は。だってどう聴いたってギターロックじゃないですか。ロックだし、ギターの音がデカい。ほら。ね?
ともかく心でギターロックだと感じさえすれば、それはギターロックです。にしても良いアルバムですよね、ソルファ。リマスター版も原盤もどっちも好きです。
TOKIO / archive
いやふざけてないです。本当に。アイドルだけど、同時にTOKIOはロックバンドだから。この曲は本当にギターロックだから。ジャニーズなのでYoutubeにもSpotifyにもAppleMusicにもないから貼れないけど、本当にギターロックなんです。聴いてほしい。
以上、3つほどギターロックの例を挙げさせていただきました。1つ聴けないけど。
とりあえず僕の中でのギターロックの雑な定義をおっ立てると
- ギターの音がデカイ。
- ギターの音がすごくデカイ。
- 心で感じる。ギターロックを。
以上。
この定義が正しいかどうかはどうでもよくて、とりあえずこの記事中では上の定義に当てはまるインディーズバンドをいくつか紹介していきますよって事です。良いバンドばかりやで。本当に。
Sui-Sei / Blue
かつての日本の首都であり文化の中心、京都発の4ピースロックバンドSui-sei
もう画面の色合いからしてもう夏です。"正しい夏"って感じですね。こういうカラーグレーディングされると、もうそれだけで好きになっちゃう。
P90が2発のジャズマスターとテレキャスっていう組み合わせが、実に邦ロック邦ロックしてて好きです。最近の爽やかちょいテク邦ロックバンドに多い組み合わせですよね。
楽曲的にもビジュアルイメージと合致しており、イントロのリードフレーズが凄く今風ですね。最近はこういうちょっとテクくてメロいフレーズがめちゃくちゃ流行ってるんですけど、僕も例にもれず大好物です。順次上行のカウンターラインが実に爽やか。ところどころ入るキメも実にバンドらしくて良い。聴いてても演ってても楽しい曲だと思います。
これはもう間違いなくギターロックでしょう。ギターロックでいいよね?
the average / サラバ愛しき日々よ
山陰地方・島根発の3ピースパワーポップガールズバンド
グレースケールはバンドMVの嗜み。ラスサビで色がつく演出も、ありきたりと言われてしまうかもしれませんが僕は大好き。超良いじゃないっすか。
冒頭でパワーポップって書いちゃったけど、ギターロックです。少なくともこの曲はギターロック扱いしても怒られないでしょう。ソロ弾いてるし。イントロからしっかりリードフレーズ弾いてるし。ギターの音がデカイし。そしてなにより僕の心がギターロックだと言っているので、ギターロックです。
楽曲的には色んな意味で聴きやすいですね。悪い意味で引っかかる箇所がない。そういうバンドってインディーズだと中々いないんですけども。あと個人的にロードオブメジャーとかあの年代のパンクバンドを彷彿とさせるタイトルセンスがね、すごく推せます。こういうの好き。
最近は良いガールズバンドが沢山いますね。HumpBackとかSHISHAMOとかthe peggiesとか、挙げたらキリがないくらい。ただ上に挙げたバンドや、その他のガールズバンドとは比較的差別化が出来ていて「そういやこういうガールズバンドはいそうでいなかったな」ってところを突いてきてるように思います。フェスとか、デカくて天気の良いステージで聴きたくなるバンドですよね。良す。
Nomad / 喝采
東京発キャッチー王道シティロックバンド
そこまでギター大きくなくない?
いやソロあるし、ギターロックと言っても怒られない程度にはギターロックしとるし、ええやろ。ギターロックって言っても。
ボーカルの声が爽やかっすね。ハイトーンがめちゃ綺麗。サンデー原作のアニメEDで歌ってそう。これは今日の偏見です。
それにしてもずっと高音域でなってるシンセが面白い。同じ系統の音を揺らしながらほとんどずっと鳴らしていますね。同系統のシンセで始まりシンセで締めるのは中々統一感が出て良いなぁ。僕はあまりこういう使い方をしないので、なるほど〜ってなりました。下から上まできっちりしてる。
ただこういう爽やかボーカルの王道ギターロックはめちゃくちゃに競争率が高いんですよね。単純に構成要素の似たバンドの数が多いので差別化が難しく、今大きな支持を得ている男性ボーカルのバンドの多くが、それぞれ唯一無二の武器を持っているという事もあり、今後どういった方向で音楽性を磨いていくのかが実に楽しみなバンドです。要チェックや。
NavyCity / ハムレット
名古屋発王道中の王道を征くロックバンド
いやこれはもう異論出ないでしょう。色んなインディーズバンドを聴きまくり「これは果たしてギターロックか...?」みたいになりつつありますが、これは自信をもってギターロックだと言えますね。むしろそれ以外ない。
王道王道アンド王道。「こういうのでええねんこういうので」を地でいってますね。こういうのでええねん。最近はちょっと暗めの歌詞や詰め込んだメロが流行っておりまして、僕も大好きなのですが、やっぱりこういうバンドも聴きたくなるんですよね。音楽に面白みや意外性を求める人にはあまりオススメ出来ないかもしれませんが、質感の良い邦ロックが聴きたい人にはしっかりオススメ出来ます。
楽曲は全体的に実にシンプルかつストレートな邦ロックサウンドですが、時折往年のHR/HMのようなフレーズが顔を覗かせます。最近流行りのヨルシカとかもそうなんですけど、こういうギタリストの好みが透けて見えるようなフレーズが聴こえてくると、嬉しくなっちゃうよね。
多分曲調的にSumikaとか好きな人には割とドンピシャで刺さるんじゃないでしょうか。 是非バラードも聴いてみたいですね。
tellmore /遠鐘
東京発エモーショナルロックバンド
この曲も間違いなくギターロックですね。東京のバンドはどっかしらの建物の屋上でMVを撮りがちですが、そういった意味でも実に王道ギターロックを全うしています。
全体を通してクオリティが高く、安心して聴いていられます。テンポも早すぎず遅すぎず、心地良いですね。それとなんといってもボーカルの声が良い。高音のかすれ方がロックすぎずポップすぎず、実に良い塩梅です。いや本当に良い声してるな。
基本をしっかり押さえた王道サウンドではありますが、ところどころこのバンド特有のセンスを感じさせる部分があります。リードギターなんかは特に。イントロのフレーズも「その音域で弾くのか〜」って感じでしたが、ソロも中々面白い音使ってますね。
この楽曲のような、最近流行りのちょいテク爽やかギターロックはリードのフレーズセンスで掴みがほぼほぼ決まるので、そういった意味でも中々面白いバンドだと思います。
おわりに
最近の若手ギターロック(と言っても差し支えのない楽曲を持っている)バンドを5つ取り上げさせていただきました。やっぱり良いですね、ギターロックは。王道ゆえにどれだけ丁寧に音作りに取り組めるかが勝負になってくるので、どのバンドも聴いていて心地よかったです。
まだまだ他にも素晴らしいギターロックインディーズバンドは沢山いるかと思いますが、今日はここらへんで締めておきます。また良いバンドを見つけたら似たような記事を書こうと思います。インディーズ漁りは楽しい。
若手インディーズコンピ「シン・ゴミ人間動物園」を褒める 後編
こんにちは。
先日、下記の記事を書きました。東京恋慕企画の若手インディーズコンピ「シン・ゴミ人間動物園」に関するものどす。
とりあえず前記事ではアルバム全12曲中前半6曲の所感を書かせていただきましたので、今回は後半の6曲を聴きつつ、褒めていきたいなって感じです。ただ聴くだけでも中々体力を要するアルバムなので、体調整えてきました。
- tr.7 シロッコ「知ってる」
- tr.8 フルヤアツシ「スカンディナヴィアン=コア=チンポアタックス」
- tr.9 ハングオーバー「ゼロ」
- tr.10 匿名希望「SANPATSU」
- tr.11 虹色じゃむ「生きて」
- tr.12 つはる「からっぽな人間のうた」
- おわり
tr.7 シロッコ「知ってる」
シロッコ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (@scirocco_band) | Twitter
THE・スリーピースロックンロールバンド。ええぞ。
曲名が良いっすね。個人的にこういう動詞だけみたいな曲名、嫌いじゃないです。フル尺1:35という短さも良い。僕は短い曲が好きです。
サウンド的には古くて音の目が粗いロックンロールサウンド。あくまでサウンド面の話ですが、なんなら横浜銀蝿とかあそこらへんの時代のバンドと一緒に聴いても違和感はないかもしれない。グランジっぽい印象も受けますね。グランジなんて単語久しぶりに使ったな。こういのってたまに無性に聴きたくなるけど、中々聴けないんですよね。
どれだけ控えめに言っても流行りのサウンドではありません。高い音域で歌われる透明感たっぷりのボーカルとか、綺麗にサラウンド化されたバッキングとかスライドを多用するリードもない。ロックバンドというよりはロックンロールリバイバルって感じ。イカ天に出てたって言われても僕は割と納得します。
あと、あれです。めっちゃスリーピースしてるところにとても好感が持てる。最近のスリーピースバンドって、音源だとあんまりスリーピースバンドしてくれないんですよね。ポップスは上物を重ねてなんぼみたいな所もあるので仕方ないですけれど、こういうバンドももっと出てきてくれると、個人的には嬉しい。
【シロッコ】ふえるワカメ【2018.5.12新宿NINE SPICES】
上の楽曲は大分ガレージよりですね。
tr.8 フルヤアツシ「スカンディナヴィアン=コア=チンポアタックス」
https://open.spotify.com/track/1ruu4miGZhu5qag3hSNRK8?si=1zOYYMVQRdiQJEef9Bqo2g
令和の社会に産み落とされた12分の地獄。たすけて。
ジャケットと「インディーズコンピ」って文字列を見た瞬間から、こういうのが1曲はあると思ってましたけど、やっぱりありましたね。せっかくのインディーズコンピ、やはりこういうのは入れとかないとね。
ジャンルについてはよく分かりませんが、真面目に「この曲はどんなジャンルに当てはまるのかな~」なんて考えるような音楽ではないことは分かります。あえて振り分けるのならナードコア、もしくChildren'sですね。僕はあまりこういう音楽を聴かないので、とりあえず佐伯誠之助氏を思い出します。
余談ですが大学の(コピーバンドが主な軽音サークル群に敬遠されている)アングラ音楽サークルでは大体こういうのをやっている人が1人はいます。ちなみに大抵留年しています。
サンプリング元はあまりにも無秩序。日本の国民的アニメのOPから始まり、公共社団法人やヨハン・パッヘルベルまで、喧嘩を売る幅が実に幅広い。展開が一切読めません。著作権ガン無視クールジャパン。
あまり音楽を聴かない人にこそ聴いてほしいです。「こういうのでもいいんだ」「音楽ってなんでもいいんだ」と思えるはず。ちんぽ。
tr.9 ハングオーバー「ゼロ」
ハングオーバー(バンド) (@HANGOVER0320) | Twitter
ハングオーバー - ゼロ [Official Live Video]
ストレートなロックバンド。良い意味であか抜けない音と歌詞が心地よいです。
ドラムカウントを聴いた瞬間「ハチロクだ!」ってなりました。このコンピでハチロク楽曲があるのはちょっと予想してなかったな。僕はハチロクがとても好きです。「ハチロクは売れない」とはメジャー音楽業界の定説ですが、関係ない。俺が好きや。
多分初期のアンダーグラフとかGUGとか、あそこらへんの時期の邦ロックバンドが好きな人には刺さるんじゃないかな。僕はとても好きです。サビの入りの音を出し切れてない感じとか、良いですよね。正に若手インディーズバンドって感じです。こういうバンドがもっと売れるような土壌があれば、もっと楽しいシーンになるのですが...
歌詞は基本的に若々しく青い印象を受けるのですが、所々意外なチョイスもあります。「さよならベイベー」とか。比較的声を歪ませるボーカルなので、こういう単語がとても似合いますね。若々しさと往年の(ステレオイメージな)ロックとの融合具合が面白い。
tr.10 匿名希望「SANPATSU」
匿名希望[バンドです東京の] (@tokumei_info) | Twitter
匿名希望「SANPATSU」「白紙、今日もいいてんき」2018.6.30@大塚MEETS
アンニュイな女性ボーカルと展開多めのオルタナだったりグランジ。
聴いてて「はぇ~そう展開するんや~」って部分がいくつか。イントロを聴いた感じ鬱系シンガーソングライト楽曲を予想してたのですが、大外れでしたね。急激なリズムの変化や歪ませたトレモロギターなんかはどちらかというとポストロックやマスロックを彷彿とさせます。
息の成分ちょい多めの低い女性ボーカルが特徴的、ところどころエッジを立てるのも良い。オタクはこういう声の女性を好きになりがちです。こう書くとやくしまるえつこみたいですが、声だけの印象ならどちらかというと泉まくらとかの方が受ける印象は近いです、個人的には。
楽曲中のバイテン部分の展開やインディーズじゃないと中々採用が難しい感じなので、やっぱりこういうの"ならでは"って感じの展開を聴けるとちょっと嬉しくなっちゃいますね。
tr.11 虹色じゃむ「生きて」
虹色じゃむ🌈8月10日渋谷La.mama周年企画 (@nijiiro_jam) | Twitter
本アルバムでは珍しい明るく元気なガールズポップ。
パッと聞いた感じ「公園でメンバーが常に笑ってる感じのMV撮ってそう」って思ったんですけど、バンドじゃなくてアイドルなんですね。昨今の地下アイドルは実に多様性に富んでいて聴きごたえがあります。
実に味のある歌声が良いですね。決して上手くはありませんが、バックの音や曲調、歌詞なんかとバッチリイメージが符合してます。こういう歌でしっかりビブラートかけられたりすると、それはそれでなんだか浮いちゃうんですよね。サビのユニゾンや掛け合いなんかも良い。しっかりボーカルエディットされた楽曲ももちろん良いですが、こういった楽曲をたまに聴くとほっとします。
あと個人的に好きなのはカラッとしたギターのトーンなんですけど、全体的にクオリティの統一感が出ているのが好感をもてます。楽曲におけるバランス感を大切にしている印象を受けますね。トータルバランスの保たれた楽曲はやはり聴いてて心地よいです。
【虹色じゃむ】2019/3/7 池袋RED-ZONE 愛してるメロンパン
""""""地下"""""って感じがしますね。ライブハウスはちょくちょく行きますが、地下アイドルの場には行ったことがないので、経験してみたい。
tr.12 つはる「からっぽな人間のうた」
https://open.spotify.com/track/7mDvV3agfgwiDFzi8Bgtct?si=tOBlCnjgSGSeVArEuDrD5w
内省的な歌詞が刺さる弾き語り楽曲。
携帯のマイクで直録りしたような質感がノスタルジックな女性ボーカル弾き語り楽曲。全編を通して暗い歌詞が粗い声とギターで紡がれます。インディーズはこうでなくっちゃね。ハイもローもいらんねや。
本アルバムのアルバムのフィナーレを飾るのに相応しい楽曲かと思われます。「フィナーレを飾る」なんて仰々しい表現の仕方は似合わないかもしれないけれど。
あえてこういった書き方をしますが、うだつの上がらない売れないバンドマンやアーティストにとっては、ある意味普遍的な感情を歌っているように思います。何も持っていないのに何かを残したいと常に思っているのが、我々のデフォルトですからね。そういった意味で、やはりこの楽曲はこの位置にいるべきだなと。我々にとっての”みんなのうた”です。
おわり
よっしゃ。
僕の所感としてはこんな感じです。ざっくり表現すれば多彩かつ若々しい、音楽という表現手法の懐の深さを思い出させてくれるようなアルバムでございました。正道を外れたものは往々にして特有の魅力を持ち得るものです。みんな色んな音楽やってるのね〜。
普段僕は作るのも聴くのもポップばかりなのですが、良い意味で好き勝手出来るバンドもやりたいな~って。でも組むまでが面倒なんだよな、バンドって。実際バンドとかグループとか呼び方はなんだっていいけれど、どんな形でもそれなりの年齢の人間が普段の生活をしつつなにかしらの表現をするのって中々に体力を使うので、それだけで尊敬です。
ところで最近は能動的にアルバムを通して聴く機会を増やしているのですが、やはり1曲1曲ずつ取り上げて聴くのとはまた違った楽しみがあります。今回は普段中々耳に出来ない、実にインディーズらしいインディーズ音楽ばかりを聴けたのでとても楽しめました。全てのインディーズアーティストが幸せになれる事を祈りつつ、とりあえず僕は仕事します。お疲れさまでした。